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2017.12.14 (Thu)

泉光院の足跡 273 丸

四日 晴天 滯在。伊勢山田の住貞利と云ふ俳人より歌の短册送らる、別書にあり。予も一句して遣はす。
   名所の人目にふれし花よりも 匂ひも深き君が言の葉

漁師町ですからご近所には句のやりとりをするような、文化人、はいなかった。退屈していたら短冊が届いた。どんな句が書いてあったのかわかりませんが余程嬉しかったとみえて、泉光院にしては心のこもった歌を返している。でもどうして泉光院が安楽島に居ることが判ったり、伊勢山田から安楽島まで短冊が届いたりするのだろう?ずっと以前にも書いたことなのだが、九州の男が福島で世話になったお礼状を帰国後送って、それを見た泉光院はその男を知っている、と日記に書いたりしている。江戸時代はキチンとした制度が出来上がっている時代のようだ。

五日 晴天。滯在。予が養い子にしたる惣助と云ふの倅萬吉方より兩人共に呼ばれたり。祈禱禮として初尾、花米、餅等上る。叉本尊へとて諸所より餅、花米上る。今夕甚兵衛と云ふ宅振舞あり。叉當海名物海苔、多葉粉等贈らる。
六日 晴天。當島托鉢始めす。
七日 晴天。安樂島年宿出立、辰の下刻。當所は在方と雖(いへど)も至て田舎也。俳人の様なる者一人も居らず、因て早々出立す。

五日の記事はワタクシにはさっぱり判らない。泉光院は惣助という人を養子にしたのか?この惣助と、年宿の主人早助は同一人?惣助の倅萬吉のために祈禱をしたの?判らないことだらけなのでそのままにしておきます。
この安楽島に10日ほど滞在して、早々に出発してしまいます。ここは文化的には僻地なので、共に語り合うというような人も、俳諧の話で盛り上がる、といったようなことも、ご近所にはないのがここを早々に引き上げる理由のようです。
一昨年秋など、黒羽領金丸村地藏堂に滞在した時なんか、なんだかんだと一ヶ月半も住みついてしまったのも、あそこは芭蕉翁が奥の細道の旅の途中で滞在しているので、その伝統で俳句を作る人がたくさんいたので、俳人というとそれだけで尊敬もされましたし、話題が共通で、心を開いてお喋りが出来たのでした。

前の年、文化十四年のお正月は下總國長沼村權右衛門さん宅で年宿を貰っていて、その時も七日の日付の所には…七艸のコナガキは無し、朝菜飯あり。…だったので、金澤・大友樓での七草行事をのせておきました。今度は七草粥も菜飯も食べないで出立したようなので、七草粥の写真だけを載せておきます(右)。大友楼七草粥2
六日の晩には、♪七草ナズナ、唐土(とんど)の鳥が、日本の國に、渡らぬ先に、バタクサバタクサ…♪ などと歌って、集めた七草をまな板にのせて両手に包丁を持ってトントコトントコ叩いて準備をしましょう。

八日 晴天。早々丸山藥師へ詣づ、石山の谷合を行くこと八丁にして石段を上ること又八丁計り、上に寺一ヶ寺、眞言地、本堂六間四面、東南向、東南は當庭より大海眼下に見ゆ。深山故鶯の初音を聞き一句、
   告げなくに何をしるべと鶯の 春立つ日とや今朝の初聲
夫より國分寺の方へ赴き松尾村淺衛門と云ふに宿す。
庫藏寺山門
安楽島の年宿を発った泉光院は庫藏寺へ行きます。安楽島の村から西へ6kmほどの丸山288mの山頂近くにあるので「丸山庫藏寺 まるやまこぞうじ」として知られているお寺ですが、本尊は虚空蔵菩薩なので、丸山藥師と呼ばれていたのかどうか疑問です。
弘法大師空海が天長二年(825)に金剛證寺を創建したとき、このお寺をその奥の院として建立したのだといい、その後九鬼氏が永禄四年(1561)に建てた本堂は国重文指定になっています。

庫藏寺本堂厨子
左はその本堂内部。
単層四注造りで、内陣の欄間、格天井は極彩色で描かれていて綺麗。



余分なことですが、九鬼氏は強力は水軍を持っていて、造った船に「日本丸」とか、「○○丸」という名前をつけたので、これが日本中に拡がって、以降、日本の船にはみんな「丸」が付くようになった。
(ほかにも説があって、仁和寺古文書に「坂東丸」というのがあってこれが最初、とも言われています)
明治政府は「船舶法・取扱手続」に、「船舶ノ名称ニハ成ルベク其ノ末尾ニ丸ノ字ヲ付セシムベキコト」という項目を入れたので、日本の船にはいわば法律によって「○○丸」と言う名前がついたのです。
外国では日本の船を「マルシップ」というそうです。
この法律は平成十三年の訓令法改正のときに削除・廃止されました。
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